✒️ 👃 コロナが治っても「匂い・味が戻らない」——自覚と検査結果が食い違う
「匂いや味がおかしい」と自覚していても、実際の検査ではもっと深刻な障害が隠れている——ロングコロナの嗅覚・味覚障害について、ドイツで初めての本格的な対面検査が行われました。
🔬 何をしたか
- オンライン調査(DEFEAT Corona)に参加した154人を対象に、対面検査を実施(2022年1〜3月・ドイツ)
- 3つのグループに分類:
- ロングコロナ群:感染確認済み、症状が4週間以上持続(122人)
- 回復群:感染確認済み、完全に回復(9人)
- 非感染群:感染歴なし(24人)
- 全員に以下を実施:
- 匂いの検査:Sniffin' Sticks(12種類の匂いを識別する標準テスト)
- 味の検査:甘・酸・塩・苦の4味を識別するテスト
- 自覚的な匂い・味の障害度を0〜10点で評価
🎯 何が分かったか
① ロングコロナ群は匂いも味も有意に悪かった
- ロングコロナ群は非感染群より匂いテストの点数が有意に低かった(p = 0.020)
- 味覚テストでも異常スコアが有意に多く、特に苦味が分からない人が多かった
② 自覚と客観テストが食い違った
- 「匂い・味が障害がある」と自覚するほど、テストの点数も低い——ただし中程度の相関(r = -0.525)
- つまり自分の感覚が当てにならない人が少なくなかった
- 客観テストを受けないと、実際の障害を見落とす可能性
③ 感染からの期間と症状の重さは関係なかった
- かかってからの期間が長いほど症状が重い——という関連はなかった
- 時間が経っても自然に治る保証はない
💡 何を意味するか
「治った」のに匂いも味も戻らない
- コロナの急性期が終わっても、感覚異常が残っている人が多くいる
- これは「気のせい」ではなく、客観的な検査で証明された障害
自覚だけでは診察できない
- 患者の感覚だけでは実際の障害を見落とす
- 簡単な匂い・味のテストをフォローアップに組み込むべき
- **嗅覚訓練(olfactory training)**という有効な治療もある
🧩 一言で言うと
コロナが治っても、匂いや味の異常が残っている人が多い。でも自分の感覚だけでは実際の障害を見落とす——簡単なテストでスクリーニングし、嗅覚訓練などの治療につなげるべき。
「気のせいではない」——客観テストがそれを証明する。
📄 論文情報
- タイトル: Olfactory and gustatory perception in adults with long COVID
- 著者: Chantal V. Degen, Jacqueline Niewolik, Urs Mücke, et al.
- 掲載誌: American Journal of Otolaryngology–Head and Neck Medicine and Surgery (2026年)
- DOI: 10.1016/j.amjoto.2026.104918